







一 / 六
霧の高原
ラムドン省ダラット、標高1,400〜1,600m。朝は霧に包まれ、昼は日が強く、夜は冷える。その差が、実をゆっくり熟させます。

ダラットの朝霧から、あなたの一杯まで。








ラムドン省ダラット、標高1,400〜1,600m。朝は霧に包まれ、昼は日が強く、夜は冷える。その差が、実をゆっくり熟させます。








コーヒーの実は、熟すと煉瓦のような赤になります。同じ枝でも、熟す順番はばらばら。収穫は十一月から一月です。






だから、一度には摘みきれません。赤く熟したものだけを選んで、手で摘みます。
















摘んだ実は、種と果皮に分けられます。ここから、道は二つ。








ハニープロセスは、蜂蜜を使う製法ではありません。果皮をむいた種のまわりには、蜂蜜のようにねっとりした果肉が残っています。それを洗い流さずに、まとわせたまま棚で乾かす——その手触りから、この名前がつきました。乾くあいだに果肉の甘みが種に寄り添い、水で洗う方法より甘く、まろやかな味になると言われます。手間がかかり、天気を読み違えると発酵が進みすぎる、気の抜けない方法です。
同じ、一つの実から。





封をほどき、器の縁へそっと掛ける。
90℃前後の湯を、まず20ml。三十秒、静かに待つ。
余韻を紡ぐように、残り160mlを二度に分けて。
全部で二分半。袋は、そっと外す。

いつもと少しだけ違う朝に。
そして、それを手渡したい人へ。
年に一度だけ手紙を書く方へ、ひと箱を。
