炉火園ROKAEN
神無月

ベトナムの大地が育み、日本の火が仕上げる。

福岡の、静かな園より。

いま、園にあるもの
ひと粒の物語

一つの実から、二つの一杯へ

ダラットの朝霧から、あなたの一杯まで。

一 / 六

霧の高原

ラムドン省ダラット、標高1,400〜1,600m。朝は霧に包まれ、昼は日が強く、夜は冷える。その差が、実をゆっくり熟させます。

二 / 六

赤い実

コーヒーの実は、熟すと煉瓦のような赤になります。同じ枝でも、熟す順番はばらばら。収穫は十一月から一月です。

三 / 六

摘む

だから、一度には摘みきれません。赤く熟したものだけを選んで、手で摘みます。

種 → 珈琲
果皮 → カスカラ
四 / 六

二つの道

摘んだ実は、種と果皮に分けられます。ここから、道は二つ。

種 → 珈琲
果肉をまとわせたまま棚で乾かし(ハニープロセス)、日本の提携焙煎所で焼いて、ドリップバッグに。
果皮 → カスカラ
乾かして、カスカラに。湯を注げば、果実のお茶になります。
五 / 六

ハニープロセス

ハニープロセスは、蜂蜜を使う製法ではありません。果皮をむいた種のまわりには、蜂蜜のようにねっとりした果肉が残っています。それを洗い流さずに、まとわせたまま棚で乾かす——その手触りから、この名前がつきました。乾くあいだに果肉の甘みが種に寄り添い、水で洗う方法より甘く、まろやかな味になると言われます。手間がかかり、天気を読み違えると発酵が進みすぎる、気の抜けない方法です。

六 / 六

二つの一杯

同じ、一つの実から。

湯気の立つ珈琲
湯気の立つ珈琲袋を器に掛け、90℃ほどの湯を少しだけ。粉がふくらみ、香りが立ちのぼるのを三十秒待って、残りを二回に分けて注ぎます。ロースト・アーモンドの香ばしさ、まろやかなカカオ、そして飲み終えたあとに残る、ハチミツのような甘い余韻。
澄んだカスカラ
澄んだカスカラ3gを95℃の湯に四分。赤みを帯びた琥珀色が、ゆっくりとにじんでいきます。干した林檎やハイビスカスのような、ほのかに酸のある甘さに、黒糖のような後味。熱いままでも、氷に落としても。そのままで十分ですが、レモンをひと搾り、シナモンをひと欠け添えると、また別の顔に——イエメンでは昔から、生姜やシナモンと煮出して飲まれてきました。
赫(あか)に染まるまで
収穫は十一月から一月。熟した実から、ひと粒ずつ。
今月の一袋
ダラット産カティモール、ハニープロセス。

いま、園にあるもの

淹れる作法

  1. 一

    封をほどき、器の縁へそっと掛ける。

  2. 二

    90℃前後の湯を、まず20ml。三十秒、静かに待つ。

  3. 三

    余韻を紡ぐように、残り160mlを二度に分けて。

  4. 四

    全部で二分半。袋は、そっと外す。

ドリップバッグ →

いつもと少しだけ違う朝に。
そして、それを手渡したい人へ。

贈りもの

年に一度だけ手紙を書く方へ、ひと箱を。

素材

読みもの

炉火園について

遠い山の土から、朝のカップへ。

園のいとなみは、一粒の豆を見つめるところから。

火を灯すのは、そのあとです。

炉火園について →

お知らせ

お便りは一度だけ。開店のときに。
ありがとうございます。炉に火が灯る頃、お便りをお届けします。