
珈琲を「飲む」より前に、人は実を煮ていた
伝説では、九世紀のエチオピアで山羊飼いのカルディが珈琲の実を見つけたとき、人はまだ種を焙煎することを知りませんでした。実をそのまま湯で煮て飲んだ、と伝わっています。十五世紀のイエメンには、乾かした果皮を生姜やシナモンと一緒に煮出す「キシル」という飲みものがあり、いまも家庭で作られています。当時は種よりも実のほうを好んで飲んだとも伝えられます。
珈琲の実の、外側。

珈琲は種です。その周りにある実は、長いあいだ畑に残されてきました。乾かすと、干した果実のような、ほのかに酸のある甘さになります。
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伝説では、九世紀のエチオピアで山羊飼いのカルディが珈琲の実を見つけたとき、人はまだ種を焙煎することを知りませんでした。実をそのまま湯で煮て飲んだ、と伝わっています。十五世紀のイエメンには、乾かした果皮を生姜やシナモンと一緒に煮出す「キシル」という飲みものがあり、いまも家庭で作られています。当時は種よりも実のほうを好んで飲んだとも伝えられます。

珈琲の実から種を取り出すと、ほぼ同じ重さの果皮と果肉が残ります。生豆一トンに対して、実がおよそ一トン。長いあいだそれは畑の脇や川べりに積まれてきました。分解するときに水を酸性に変え、メタンを出す——産地にとっては、長いあいだの宿題でした。

エルサルバドルの生産者アイダ・バトルが、乾かした果皮を口にして、ハイビスカスやパパイヤのような香りに気づきます。きちんと洗い、きちんと乾かしたものを品評会に持ち込むと、その場で評価されました。スペイン語で「皮」を意味するカスカラという名前が、飲みものの名前になったのはこのときです。

ラムドン省やソンラ省の一部の畑では、カスカラにするために完熟の実だけを手で摘み、その日のうちに洗って果皮を分けます。半端な熟度が混じると味が濁るからです。加工では日本の凍結乾燥(フリーズドライ)の技術が入り、日本の取引先と組んで仕上げたものが、コンテナ単位で海を渡りはじめました。最初の輸出はここ数年のこと——飲みものとしては、まだ新しい。
3gを、95℃の湯200mlへ沈める。
四分。それから、静かに引き上げる。
氷の上へ落とすと、夏の色になる。
夜。もう一杯だけ、と思う時間に。



果皮の甘みは、煮詰めると一段はっきりします。シロップにしておくと一週間は遊べます。
カスカラ30gを水500mlで10分ほど煮出し、漉します。液に同量ほどの砂糖(約250g)を加えて溶かし、冷まして瓶へ。冷蔵で二週間。スパイスを効かせたいときは、煮出すときにシナモン1片・カルダモン2粒・クローブ2粒・生姜の薄切り2枚を一緒に。
グラスに氷、シロップ40ml、炭酸水160ml。レモンを1/8個搾って、皮も落とす。スパイス入りのシロップで作ると、コーラに近い香りになります。夏の午後と、車で来たお客さまに。
3gを95℃のお湯100mlで4分。濃いめに淹れて、氷と炭酸水100mlに落とすだけ。砂糖を使わない方はこちらを。
コーヒーの実の外側——果皮と果肉を乾かしたものです。内側の種にあたる部分が焙煎されてコーヒーになります。同じ実の、別の部分です。
干した林檎やハイビスカスのような、ほのかに酸のある甘さ。黒糖のような後味が残ります。紅茶にも麦茶にも似ていません。
含まれますが、一般にコーヒーより少なめです。
使う部分が違います。コーヒーは実の中の種、カスカラは実の外側です。焙煎ではなく、乾燥させて使います。
3gを95℃のお湯200mlに4分。茶葉を引き上げてからお召し上がりください。氷の上に落として冷たくしても。